クレパスとクレヨンの違いとは?原料や対象年齢と使い分けの真相
子どものお絵描き道具や学校の教材を準備する際、「クレヨンとクレパスは一体何が違うのか」と疑問を抱いた経験を持つ方は少なくありません。見た目はよく似ている両者ですが、製造の歴史、原料の配合比率、適した描画技法、さらには推奨される対象年齢に至るまで明確な差異が存在します。
実は「クレパス」という名称自体、一般名詞ではなく株式会社サクラクレパスの登録商標です。一般名詞としての正式名称は「オイルパステル」に分類されます。2026年現在も保育園・幼稚園から小学校への進学タイミングで多くの保護者が頭を悩ませるこの画材選びについて、成分や硬さの違いから教育現場での指定基準、汚れの落とし方までを徹底的に解明します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「クレパス」はサクラクレパスの登録商標(一般名:オイルパステル)であり、クレヨンとパステルの長所を兼ね備えた日本発祥の画材である。
- 要点2:クレヨンは「硬めで線画向き・低年齢児(1〜3歳)推奨」、クレパスは「柔らかく面塗り・混色や重ね塗りが得意(4歳〜小学生)」。
- 要点3:保育園・幼稚園では筆圧が弱くても折れにくいクレヨン、小学校では図工表現の幅が広がるクレパス(またはオイルパステル)が指定される傾向が定着している。
【徹底比較】クレパスとクレヨンの原料と成分・特徴の決定的な違い
クレヨンとクレパスの最大の違いは、主原料である「ワックス(木蝋・パラフィン)」「液体油(流動パラフィン・植物油)」「顔料」の配合比率にあります。この配合バランスが、芯の硬度や発色、描画特性に大きな変化をもたらしています。
クレヨンは、顔料を固めるために固形ワックスの比率を約60〜70%と高く設定し、油分を極力抑えて作られています。そのため芯が硬く型崩れしにくい特性を持ち、握る力が加減できない乳幼児が描いても折れにくく、輪郭線や細い線をくっきりと描く用途に適しています。
対照的にクレパスは、1925年(大正14年)にサクラクレパス(当時:日本文教品製造)が「クレヨンの定着性」と「パステルの混色性」を融合させて開発した画材です。液体油の比率を約40〜50%まで高めることで、バターのように滑らかなタッチと軟らかい質感を実現しました。これにより、画面上で色と色を混ぜ合わせる「混色」や、塗った色の上に別の色を重ねる「重色(重ね塗り)」が自在に行えるよう設計されています。
| 項目 | クレヨン(Crayon) | クレパス(Oil Pastel) | クーピーペンシル(Coupy) |
|---|---|---|---|
| 分類・一般呼称 | 一般名詞(クレヨン) | 商標名(一般名:オイルパステル) | 商標名(全芯色鉛筆) |
| 主原料・成分構成 | 顔料+固形ワックス(油分極少) | 顔料+固形ワックス+液体油 | 顔料+合成樹脂(ポリマー) |
| 芯の硬さ・描き心地 | 硬い/サラッとした感触 | 軟らかい/ねっとり滑らか | 色鉛筆と同等の硬度/サラサラ |
| 得意な表現技法 | 輪郭線・細部描写・ハッチング | 面塗り・混色・重色・スクラッチ | 細密描写・消しゴムでの修正 |
| 推奨対象年齢 | 1歳半〜4歳前後(乳幼児期) | 4歳〜小学生・中高生・一般 | 5歳〜小学校全般 |

【歴史と商標の真実】「クレパス」はサクラクレパスの登録商標だった
日本国内でお絵描き道具の代名詞として親しまれている「クレパス」ですが、前述の通り株式会社サクラクレパスが保有する登録商標(商標登録第168472号ほか)です。日本工業規格(JIS)や海外市場においては「オイルパステル(Oil Pastel)」という一般名称で定義されています。
大正時代末期、西洋から輸入されていた画材「パステル」は粉末状で発色が美しい反面、定着液(フィキサチーフ)を吹き付けないと粉が落ちてしまうため、学校教育現場では扱いが難しいという課題がありました。一方、輸入クレヨンは線画には向いていましたが、硬すぎて混色や広い面の塗りつぶしが困難でした。
そこで「クレヨンの定着力」と「パステルの描画力」をひとつにまとめようと開発されたのがクレパスです。他社製品として有名なぺんてるの「ぺんてるくれよん」なども存在しますが、ぺんてるの標準クレヨンは適度な柔らかさを持たせつつもクレヨンの範疇に属し、同社のオイルパステル製品は別ラインナップとして展開されています。
【現場検証】保育園・幼稚園と小学校で指定教材が分かれる理由
文部科学省の学習指導要領や各自治体の指定教材リストを精査すると、園生活と小学校入学時で推奨画材が明確に切り替わる傾向が確認できます。
保育園や幼稚園の年少クラスでは、「折れにくさ」と「汚れにくさ」が最優先されます。握力が未発達な乳幼児がクレパスを使うと、力を入れすぎて根元から折れたり、手のひら全体や机に油性の顔料がベッタリと付着したりします。そのため、手が汚れにくいコーティングが施されたクレヨンや、太軸で硬めのクレヨンが選ばれます。
一方、幼稚園の年長から小学校の図画工作科に入ると、教育目標が「道具を握って描く」ことから「色彩感覚や質感の表現」へと移行します。小学校の教科書では、指でこすってぼかす「ぼかし絵」や、下地の色を塗り重ねてから削る「スクラッチ技法」、複数色を塗り混ぜる「混色表現」が扱われるため、表現力に富んだクレパス(オイルパステル)が指定教材として選定されるケースが主流です。

クーピーやパステルとの違い|用途別の使い分け基準
画材選びで混同されやすい関連製品として、「クーピーペンシル」と「粉末状のパステル」が挙げられます。
クーピーペンシル(サクラクレパス製)は、芯全体が顔料と合成樹脂(ポリマー)で作られた色鉛筆の進化系です。「削り器で削れる」「手が汚れない」「消しゴムで消せる」という圧倒的な利便性を備えています。手軽さにおいてはクーピーが群を抜いていますが、クレパスのような重厚な油絵風のタッチや、力強い不透明な塗りつぶし表現は苦手です。
また、粉末顔料を固めただけのトラディショナルな「ソフトパステル/ハードパステル」は、油分を一切含みません。指で伸ばすと柔らかなグラデーションが生まれますが、粉が飛散しやすく定着剤が必須となるため、プロの画家や美術系高校・大学以上向けの専門画材といえます。
服や手についた汚れの落とし方|油性成分の正しい対処法
クレヨンやクレパスで子どもが遊ぶ際、保護者の最大の懸念となるのが衣類や壁への着色汚れです。主成分が油分とワックスであるため、水と通常の洗剤だけで洗っても油分が水を弾き、繊維の奥に顔料が残ってしまいます。
家庭で落とす場合は、以下のステップが有効です:
- クレンジングオイルまたは台所用中性洗剤を直接塗布:油分を乳化させるため、水をつける前の乾いた状態で汚れ部分に原液をなじませます。
- ぬるま湯(40〜50℃)でもみ洗い:固形ワックスは熱で溶け出す性質があるため、冷水ではなくぬるま湯を使用します。歯ブラシなどで生地を傷めないよう優しく叩き出します。
- 酸素系漂白剤と洗濯石けんで本洗い:油分が抜けた後に残った顔料色素を、固形洗濯石けん(ウタマロ石けん等)でこすり落とし、通常通り洗濯機ですすぎます。
机やフローリングについた場合は、メラミンスポンジで強くこする前に、無水エタノールやハンドクリーム(油分)を布につけて拭き取ることで、コーティングを傷めずに綺麗に落とせます。

【プロの結論】年齢と用途に応じた最適な画材の選び方
発達段階や使用目的を無視して画材を与えてしまうと、子どもの創作意欲を削ぐ原因にもなりかねません。購入時に迷った際は、以下の明確な基準で判断してください。
▼ クレヨンを選ぶべきケース
- 対象年齢が1歳〜3歳前後で、まだ筆圧のコントロールがおぼつかない
- 服や部屋を汚さず、手軽にお絵描き遊びを楽しませたい(水で落とせるタイプや「手が汚れないクレヨン」が最適)
- はっきりとした輪郭線を描くのが好きなお子様
▼ クレパス(オイルパステル)を選ぶべきケース
- 対象年齢が4歳以上〜小学生で、図工教材として指定されている
- 広い画用紙に大胆な背景を塗りつぶしたり、指でぼかしたりする技法を学びたい
- 油絵のような重厚感のあるタッチや、本格的な色彩表現を身につけさせたい
【クレパス クレヨン 違い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:クレパスとオイルパステルは全く同じものですか?
A1:実質的に同等の画材です。「クレパス」はサクラクレパスの登録商標であり、一般名およびJIS規格上の名称が「オイルパステル」です。他社製(ぺんてる、ホルベイン等)の同等品は「オイルパステル」という名称で販売されています。
Q2:小学校の入学準備で「クレヨン」と書いてある場合、クレパスを持たせても大丈夫ですか?
A2:学校や地域によって「クレヨン」と総称しつつ実際はクレパスを指定しているケースや、逆に混色を行わない方針でクレヨンを指定しているケースがあります。誤って購入しないよう、学校から配布される「入学準備のしおり」に記載された推奨メーカー名や指定型番を確認するか、担任へ事前に確認することをおすすめします。
Q3:100円ショップのクレヨンやクレパスは大手メーカー品と何が違いますか?
A3:100円ショップの製品はコスト削減のため顔料の含有量が少なく、ワックスや油脂の品質差から「発色が薄い」「滑らかさに欠ける」「カスが出やすい」傾向があります。発色や伸びの良さ、折れにくさを重視するなら、サクラクレパスやぺんてるなどの専門メーカー品を選ぶのが確実です。
まとめ:違いを正しく理解して子どもの表現力を伸ばす
クレヨンとクレパスは、どちらが優れているかという優劣ではなく、「硬さ」「油分」「表現技法」という特性の違いによって使い分けるべき画材です。
握力の弱い幼少期には折れにくく汚れにくいクレヨンで描く楽しさを知る。そして成長とともに指先が器用になったら、混色や面塗りが自在なクレパスへステップアップする——。それぞれの画材が持つ長所を正しく把握し、子どもの年齢や学校のカリキュラムに合わせて最適な一箱を選んであげましょう。 (出典: クレパス クレヨン 違い(Yahoo!ニュース))